マドリッドから発信


by dias-madriz
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Todo sobre mi madre

スペイン映画 『オール・アバウト・マイ・マザー』 に登場するバルセロナのPISO(マンション)。グエル公園へ行く途中で見つけられます。
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さて、スペインの移植事情について…。

「あのね、madrizちゃん。スペインは移植が盛んで、ドナーの数も世界一なんだよ。」

今まで、何回も同じようなことを聞いた。相棒F氏も、仲良しのAPちゃんも、ましてや中高生までもが「そうそう。僕たち一番だよ!」と、ちょっと自慢げ…。

確かに、『ER』 のパクリとしか思えないドラマを見ていても、ドナー交渉のシーンが当たり前のように登場する。最近、登場人物の一人であるHectorが移植局長に就任して、移植に関するエピソードも前より多くなったように思う。

でも、なんでこんなに移植が盛んなの???

周りのスペイン人に聞いても、はっきりとしたことが分からない。自慢すれども、理由知らずなのだ。で、ちょっと調べてみた。ドナー数は毎年トップではないけど、常に上位にいることは確かだ。

まず、1980年に施行された移植法で、脳死がヒトの死と認められた。同時に、脳死患者の家族の同意があれば、臓器および身体の提供が可能となった。つまり、本人の生前意思は問われない。


この法律によって、スペイン人は自動的に全員ドナーとなったのだ。


生前にドナーになるのを拒否する権利はもちろんある。公共センターなどで申請すればいいのだ。未成年者の場合は保護者が申請する。でも、スペインのお役所はたいてい、14:00までしか開いていないし、何をするにも時間がかかる。

だから、わざわざ「ドナーになりたくありません」と登録する人が多いとは思えない。多分、こんな権利があることさえ知らないと思う。相棒F氏だって知らなかったと言うではないか。

スペインに限らず、欧米諸国の移植に関する法律や状況は割と似ている。じゃあ、そんな中、なぜスペインのドナー数が常に世界の上位を占めているのかと言えば、1989年に創立されたONT(la Organización Nacional de Trasplantes:厚生省に属し、移植をコーディネートする組織)の存在だ。

このONTを中心に、国・自治体・病院が連結し、100万人当たり過去14人だったドナー数を34.6人にまで引き上げた。年度によっては40人以上のドナー数に達する。

国全体に移植ネットワークが定着しているのだ。移植に間に合わずに死亡する患者の数はおよそ10%というから驚きだ。これが、WHOも推奨している Spanish Model だ。

もちろん、脳死患者の家族がノーと言えば、移植は実現しない。ドナーは義務ではないし、ノーを言う権利は保障されている。

家族にイエスと言ってもらうために、移植コーディネーターたちは、あらゆる状況を想定してシミュレーション・トレーニングをする。ONTの理念である「スペイン国民としての連帯意識と愛他精神」を家族に理解してもらうのだ。

日ごろスペインに悪態をついている私も、こればっかりは感心せざるを得ない。そんな中、突然思い出した一つの映画。


『オール・アバウト・マイ・マザー』 byペドロ・アルモドバル


主人公は移植コーディネーターだ。日本でこれを観た時は、アルモドバルの世界に浸るだけで、移植のことなんて気にも留めなかった。自分の興味あることだけに集中すると、視野が狭くなるとつくづく実感…。

で、もう一度観てみることにした。スペインの日曜版の新聞にはいろんなオマケがつく。その一つがこの映画のDVDだった。

移植がメイン・テーマではないが、この映画を通して、病院とONTとのネットワークが少しは分かると思う。また、どのようにドナー交渉を進めるか、シミュレーションを通じてのセミナーのシーンもある。

最後に…、アルモドバルの次回作は 『Los Abrazos Rotos』 (原題)。5月26日に撮影開始したばかり。映画について、なんと監督自身がブログを書いています。
http://www.pedroalmodovar.es/
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by dias-madriz | 2008-06-22 10:59 | Vida | Trackback | Comments(0)