マドリッドから発信


by dias-madriz
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Todo sobre la muerte de mi madre vol.2

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父から電話があった時、私はセマナ・サンタ(聖週間)休暇を利用して相棒F氏と一緒にバレンシアにいた。マドリッドから電車やバスで3、4時間。マドリッドから一番近いビーチと言うこともあり、バレンシアは「マドリッドっ子のビーチ」とも呼ばれている。

今思うと、セマナ・サンタ休暇で外国に行かなくて本当に良かった。スペイン国外にいたら母の臨終に間に合わなかった。

しかも、私が日本へ到着した日にアイスランドの噴火が起こった。噴火から数日間、ヨーロッパの主要空港は閉鎖されていた。スペイン出国が1日遅れていたら、母の臨終どころか葬儀にすら間に合わなかっただろう。母の死は耐え難いものだが、今思えば、臨終に間に合ったのがせめてもの救いだ。

父から電話があったのは4月2日(金)スペイン時間で朝の8時15分ごろ。ホテルで寝ていた私たちは父の電話で起こされた。

私は定期的に日本へ電話していたので、日本からかかって来ることは滅多になかった。それが、父からの突然の電話。何だか嫌な予感がした。ここ数年、母は体調が悪く年末年始に私が帰国した時も入院していた。


予感的中。


「危篤だ!危篤だ!」と叫ぶ父に母の詳しい容態を聞けるはずもなく、また私自身もかなり動揺していた。

「とにかく今すぐ飛行機のチケットを買ってすぐ帰るから。」と電話を切る。


日本語で「お父さん?どーしたの?何?何?」と叫んでいた私の様子を横で見ていた相棒F氏も何かを悟ったらしい(F氏の日本語能力は限りなくゼロに近い)。


「Mi madre va a morir! Va a morir! お母さんが死んじゃうよ!」


泣き叫ぶ私を支えながら、F氏は持参していたノートパソコンを開いてチケットを探し始めた。それと同時に8月の帰国用に買っておいたチケットの日付変更ができるかどうかJALへ電話もした。


JALがマドリッドを出発する最終便は15時半くらいとのこと。バレンシアにいた私がマドリッドに戻ってから空港へ向かうにはギリギリの時間だ。

しかもホリデーシーズンでマドリッド行きの電車の切符は売り切れ。バスで帰るしかない。高速の渋滞が予想されたので、当日発のJALを諦め、翌日発のチケットを探す。3日発、4日着のエールフランスを予約した。

日本からスペインまでは直行便がない。乗り継ぎ便の時間によっては、たとえ出発日が1日違っても、実は到着時間にはあまり大差がなかったりする。どちらにしてもヨーロッパ発は日本に当日着ができない。

エールフランスはマドリッドを朝7時くらいに出発するので、日本へ到着する時間も翌日の朝6時半と早い。エールフランスに感謝した。

日本行きチケットを押さえた私は少し落ち着きを取り戻し、F氏と一緒にマドリッド行きのバスへ乗り込んだ。


それでも母が危篤だということ、もう二度と話せないかもしれないということ、色んなことに実感が湧かなかった。年末年始に入院していた母は、私がスペインへ戻る前日に退院した。あれが母と過ごした人生最後の日だったなんて、どーしても信じられなかった。

日本へ行ったらバタバタすると思い、マドリッドへの道中、転職先のボスや転職先に来てくれることになっていたお客さんたちへメールした。


「母が危篤なので急遽日本へ行きます。状況によってはいつスペインへ戻れるか分かりません。迷惑かけてごめんなさい。」


本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。私が失業してから転職が決まるまで、ずーっと私を信じてくれた人たちだったから。

次々と返信メールが届く。


「madriz。僕達のことは心配しないで。お母さんは世界で一番大切な存在なんだよ。」


母が危篤なのに不謹慎だとは思ったけど、思わず笑ってしまった。さすが、スペイン人だ。家族が一番、お母さん命のスペイン人。



お母さんは世界で一番大切な存在。



バスの中でまた父から電話が入った。日本時間で22時くらいだった。

「今、病院にいるんだ。たくさんの親戚が来てくれたよ。お母さんはまだ頑張っているから、madrizは心配しないで気をつけて帰っておいで。」

バスの中で人目もはばからず、わんわん泣いた。ピーチクパーチク喋り続けていた周りのセニョーラたちもびっくりしていた。

相棒F氏も私の横で励ましてくれる。

「ICUに入っていても24時間経過すれば、大丈夫かもしれない。落ち着くんだよ。」


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by dias-madriz | 2010-04-02 22:00 | Familia | Trackback